2025.08.04
リンクストラテジー株式会社は展示会に来場したビジネスパーソン400人を対象に、展示ブースの印象や訪問理由に関するアンケート調査を実施しました。本調査は、展示会における出展企業と来場者の意識のギャップを可視化し、今後のブース設計や集客施策に役立てることを目的としています。
情報登録不要で無料ダウンロード可能です。
ダウンロードする展示会の来場者アンケートからは、来場者の目的や情報接触の経路、ブースに対する印象など、リアルな傾向が見えてきました。
この調査から見えてきた展示会来場者のリアルな行動と判断基準について、さらに詳しく分析していきます。
展示会に来場した目的として最も多かったのは、「情報収集(業界動向や製品動向の把握)」で、全体の56.25%(225件)を占めました。次いで、「導入検討中の製品・サービスを探すため」が24.25%(97件)、「複数製品の比較検討」が8.75%(35件)、「既存取引先の訪問・挨拶」が4.5%(18件)、「ノベルティや資料収集のため」が6.25%(25件)という結果でした。
来場した展示会について、最も多かったのは「企業からのメールやDM」で、全体の50.5%(202件)でした。次いで「展示会の公式サイト(メール・SNSなど)」が47%(188件)、「Web広告(SNSや検索広告など)」が36.25%(145件)という結果となりました。
このほかにも、「SNS投稿(X、Instagramなど)」(22.5%)、「知人・同僚からの紹介」(19%)、「取引先・パートナー企業からの案内」(22.75%)など、情報源は多岐にわたっていました。
展示会への来場を決めた理由として、最も影響の大きかった情報源は「主催企業や事務局からの告知」で、全体の54.75%(219件)を占めました。次いで「出展社(企業)からの告知」が37.75%(151件)「その他(第三者からのシェア)」は7.5%(30件)にとどまりました。
会場で印象に残ったブースについて、最も多く選ばれた理由は「商品やサービスに興味があった」で、全体の44.25%(177件)を占めました。次いで「スタッフの対応が丁寧だった」が23.25%(93件)、「デザインや装飾が目を引いた」が18%(72件)という結果となりました。
そのほか「説明がわかりやすかった」(6.75%)、「体験コンテンツやデモが魅力的だった」(5%)、「ノベルティなどが目当てだった」(2.75%)と続いており、来場者の関心や記憶に残るポイントには、製品そのものの魅力やスタッフ対応が大きく影響していることが分かります。
展示会での商談や名刺交換の実施状況に関する設問では、「商談につながる会話をした」との回答が最も多く、全体の36%(144件)を占めました。次いで「名刺交換のみ行った」が27.25%(109件)、「展示会後に具体的な提案を依頼した」が22%(88件)という結果となりました。
一方で、「展示会後に正式な契約をした」と回答したのは5%(20件)にとどまり、「とくにやりとりはなかった」は9.75%(39件)でした。
この結果から、展示会はその場での商談発生よりも、きっかけづくりや見込み顧客との関係構築の場として活用されていることが分かります。
展示会で得られた情報や価値についての設問では、「想定外の新しい発見や学びがあった」が最も多く、51.75%(207件)にのぼりました。次いで「自社の課題に合う製品・サービスに出会えた」が42.75%(171件)、「営業担当との会話で理解が深まった」が42%(168件)と続いています。
また「比較検討が進んだ」との回答も20.5%(82件)あり、来場者の多くが製品選定や知識の深化に一定の成果を感じている様子がうかがえます。一方、「特に得るものはなかった」は6.5%(26件)にとどまり、展示会が何らかの価値提供を果たしている傾向が読み取れます。
展示ブースに関する設問では、「声がけがしつこかった」(20.25%)、「説明が分かりにくかった」(18.75%)、「スタッフが話しかけてこなかった」(18.5%)など、接客や説明に関する回答が多く見られました。
「展示が見づらかった/目立っていなかった」(17.75%)、「他の来場者と混雑していて入りにくかった」(17.75%)といった会場環境に関する項目も一定の回答を集めています。
展示会ブースの訪問判断における「デザインの影響度」についての設問では、「ある程度影響する」と回答した割合が56.25%(225人)で最も多くなりました。次いで「非常に影響する」が24.25%(97人)となっており、合計すると全体の8割以上(80.5%)の来場者が何らかの形でデザインを意識していることがわかります。
一方で「あまり影響しない」と回答したのは14.75%(59人)、「まったく影響しない」は4.75%(19人)にとどまっており、全体としてブースデザインが来場者の判断に一定の影響を及ぼしている傾向が見受けられます。
来場者が「どのチャネルで展示会を知ったのか」と「実際に来場を決める際に最も影響を受けた情報源」との関係性を明らかにするため、クロス集計を行いました。
その結果、どの経路で展示会を知ったとしても、最終的に来場を後押ししたのは『主催企業や事務局からの案内』である傾向が強いことがわかりました。
特に、「企業からのメールやDM」や「展示会の公式サイト(メール・SNSなど)」といったデジタルチャネル経由で展示会を知った人の6割以上が、来場決定の最大要因として「主催者からの告知」を選んでいます。
Web広告やSNS投稿経由でも同様の傾向が見られ、たとえ情報の出どころが出展企業側であっても、最終的な来場の後押しには主催者の案内が効いていることが分かります。
一方「取引先・パートナー企業からの案内」で展示会を知った場合は、他と比較して「出展社(企業)からの告知」が影響源となる割合が高く、商流や既存関係性による動機も一定数存在しています。
このことから、展示会の集客においては、「認知の入口」と「来場の決め手」となるチャネルが異なる可能性がある点に注意が必要です。
展示会来場者を目的別に分類し、商談や具体的な提案依頼、契約に至る割合を分析しました。その結果、「導入検討中の製品・サービスを探すため」に来場した人は、商談につながる割合が47.4%、提案依頼率が36.1%と、他の目的に比べて高い数値を示しました。
一方「情報収集」目的の来場者は名刺交換のみで終わるケースが多く、提案依頼や契約まで進む割合は低いことが分かります。
また、複数製品の比較検討を目的とした来場者も提案依頼率が45.7%と比較的高いものの、最終契約率は11.4%にとどまっています。
この分析から、商談や提案依頼につなげるには展示会の段階で「導入を具体的に検討している層」をターゲットとしたアプローチが重要であることが見えてきます。
展示会で印象に残ったブースの要因と、そこで得られた情報や価値の関係を分析しました。
その結果、「デザインや装飾が目を引いた」と回答した来場者の68.1%が、自社の課題に合う製品やサービスに出会えたと回答しており、他の要因よりも高い傾向が見られました。
一方、スタッフの丁寧な対応が印象に残ったブースでは、新しい発見や学び(66.7%)、会話による理解の深化(47.3%)が得られる割合が高く、商談フェーズでの情報収集に有効であることが示されています。
さらに、商品やサービス自体に興味を持ってブースを訪れた場合も、課題解決や理解促進につながる割合が4割を超える結果となりました。
このことから、ブースデザインは単なる見た目だけでなく、課題に合う製品・サービスとの出会いを後押しし、展示会の成果に大きく影響する重要な要素であることが明らかになりました。
では次に、展示会から商談・契約へと進んだ来場者の動きを見てみましょう。
展示会後に正式な契約を結んだ来場者は全体の5.0%でした。そのうち60.0%が「営業担当との会話で理解が深まった」と回答しており、具体的な商談・契約にはブースでの対話が欠かせないことが分かります。
また、商談につながる会話をした来場者でも50.0%が「営業担当との会話で理解が深まった」と回答。提案依頼や契約に至る過程では、展示や資料だけでなく人による直接的な説明や質疑応答が重要な役割を果たしています。
本調査結果からは、展示会を成功させるには来場者の目的や行動を正しく把握し、事前の情報発信と当日の体験・接客を組み合わせた戦略的なアプローチが求められることがわかりました。
展示会来場者には、製品やサービスの導入を具体的に検討している層と、まずは情報収集を目的として訪れる層が存在します。前者には会場での商談や提案依頼にスムーズにつなげる対応を、後者には名刺交換や事後フォローを通じて長期的に関係を築く戦略が必要です。
企業からのメールやDM、展示会公式サイトといった主催者からの案内は来場決定に大きな影響を与えています。また、知人や取引先からの紹介も有効です。これらを組み合わせた多角的な情報発信が集客の鍵となります。
「デザインや装飾が目を引いた」ブースは課題解決に合う製品・サービスとの出会いにつながりやすく、来場者の興味を引きやすいことが分かりました。さらに、スタッフの「丁寧な対応」や営業担当との会話による理解促進は、契約率向上に直結するため、コミュニケーション力の強化が不可欠です。
展示会で「印象に残った理由」として最も多かったのは「製品やサービスに強く興味を持った」という声でした。単に製品を並べるだけではなく、課題解決につながる提案や具体的な利用シーンを示すことで、来場者が自社との商談をイメージしやすくなります。
また、展示会当日にすぐ商談に進まない来場者も多く存在します。こうした来場者とも継続的に接点を持つために、アンケートや資料請求を活用し、展示会後にはメールやオンライン商談、セミナーなどでフォローを行うことが重要です。
本調査の結果を基に作成した「BtoB展示会動向調査レポート(PDF)」は、情報登録不要で無料ダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。
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