2025.06.04
展示会への出展は、マーケティング施策として効果的な取り組みの一つです。しかし「出展料やブース制作など、どれくらい費用がかかるのか?」「相場がわからず予算計画が立てにくい」といった悩みを抱える企業も少なくありません。展示会出展にはさまざまな項目でコストが発生し、初めて出展を検討する方にとってはイメージしづらい点も多いでしょう。
この記事では、展示会出展にかかる費用の内訳や相場、コストを抑える工夫までをわかりやすく解説します。自社の予算に合った出展計画を立てたい方や費用対効果をしっかり見極めたい方は、ぜひご覧ください。
コストを抑えつつ訴求力あるブース設計を
ご提案いたします。
展示会の費用を見積もるうえで、最初に押さえておきたいのが「1小間」という考え方です。これは、展示会で提供される出展スペースの基本単位を指し、多くの費用や装飾計画はこの「小間」を基準に設計されます。
一般的には、幅3m × 奥行き3m(=9㎡)のスペースが「1小間」として提供されるケースが多く、業界の標準的なサイズとなっています。
ただし、展示会によってこのサイズは異なる場合もあります。例えば、業界大手のRX Japan主催の展示会では、1小間=6m × 2.7m(16.2㎡)というように、より大きなサイズで区画が設定されているケースも存在します。
出展する展示会の仕様を必ず確認し、それに合わせた費用見積もりを行うことが重要です。
1小間だけでなく、2小間・4小間・8小間といった複数小間をまとめて申し込むことで広くスペースを確保できるため、製品展示やセミナー、商談スペースの設置など自由度が高まります。
展示会ブースは、同じ小間数であっても配置の仕方によって集客力や使い勝手が大きく変わります。費用にも影響するため、選定時には以下のポイントに注意しましょう。
通路に面した2方向が開いており、人通りが多く集客しやすい人気の配置。追加料金が発生することもあります。
通路に面した1面のみが開放される一般的な配置。コストを抑えやすい反面、視認性はやや劣ります。
通路の中央に設置される大規模展示用のレイアウト。周囲すべてが開放されており、視認性・回遊性は高いがコストも高くなる傾向があります。
展示会ブースは、同じ小間数であっても配置の仕方によって集客力や使い勝手が大きく変わります。費用にも影響するため、選定時には以下のポイントに注意しましょう。
展示会出展では、出展料だけでなくブースの施工・装飾・設備などさまざまな費用が発生します。ここでは主な費用項目とその相場について紹介します。
項目 | 内容例 | 相場目安 |
出展料金(小間料) | 主催者へ支払うスペース利用 料(1小間9㎡) | 30〜50万円/1小間 |
ブースデザイン・装飾・施工費用 | システムパネル・木工造作・床材・グラフィック・照明・什器など | システム:10〜30万円/ 1小間木工:40〜70万円/1小間 |
人件費・スタッフ手配・交通費・宿泊費 | 営業・説明スタッフの人件費、交通費、宿泊費、外部スタッフやコンパニオン | 人件費:2〜3万円/人・日交通・宿泊費:1.5〜3万円/人・日外部スタッフ:3〜5万円/人・日 |
ノベルティや印刷物などの販促ツール | パンフレット、チラシ、名刺、ノベルティなど | 印刷物:5〜15万円(300〜500部) ノベルティ:10〜30万円(500〜1,000個) |
集客費用 | DM・メール・SNS・Web広告、来場予約フォーム、特典告知など | 5〜20万円程度 (配信範囲・媒体数による) |
その他 | 輸送費、保険、主催者オプション(電源・ネットなど) | 輸送費:3〜10万円 保険:1〜3万円 オプション:5千円〜数万円 |
合計費用の目安 | - | 約70〜300万円程度 (規模により変動) |
出展料金とは、展示会の主催者に支払う「スペースの使用料」です。一般的に「1小間(3m×3m=9㎡)」単位で設定されており、展示会の規模や開催地(東京ビッグサイト・インテックス大阪など)、出展位置(角ブース/通路沿い)によっても金額は大きく変わります。
相場としては、1小間あたり 30〜50万円前後が一般的です。これには装飾や備品の費用は含まれておらず、あくまで「区画だけの貸し出し」となる点に注意が必要です。
また、小間料に加えて「基本装飾(社名板や蛍光灯、電源コンセントなど)」がセットになっている展示会もありますが、別途申請やオプション契約が必要な場合もあります。事前に展示会ごとの出展要項を確認し、自社の展示目的に合った区画サイズ・形状(1小間/2小間/角小間 など)を選ぶようにしましょう。
展示会において、ブースの見た目や設計は「来場者の第一印象」を大きく左右します。単にスペースを借りるだけではなく、自社の魅力を伝える空間をどのように演出するかが商談のきっかけや集客数にも関わってきます。
ブースの施工方法には主に2種類あります。
主催者が用意する既製パネル(システムパネル)を使ったシンプルな構成です。コストを抑えられる反面、見た目のインパクトや自由度はやや劣る傾向があります。費用は1小間あたり 10〜30万円程度 が目安です。
自由度が高く、ブランドイメージや展示物に合わせたオリジナルデザインが可能です。訴求力の高い装飾ができる反面、コストはやや高めで、1小間あたり 30〜50万円前後 が一般的です。
このほかにも、以下のような施工・装飾要素があります。
なお、小間数が増えるほどデザインの自由度も上がり、1小間あたりの単価が下がるケースもあります。限られた予算内で見せ方にこだわりたい場合は、安価でも見栄えするブースを提案できるパートナーの選定がポイントになります。
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展示会では、営業・説明・受付などの役割に応じたスタッフの手配が必要です。特に複数日開催の場合は、交通費・宿泊費・日当を含めた人件費が大きなコスト要因となります。
「前日搬入」や「交代制シフト」が必要になる展示会もあるため、人員計画とスケジュール設計は早めに行うのが理想です。
社内スタッフだけで足りない場合は、外部説明員やコンパニオンの派遣も有効。トレーニングや事前共有を含めて、予算に応じた体制を整えましょう。
展示内容の複雑さや来場者数によって必要な人員は変わるため「1小間につき2〜3名を常駐させる」など目安を設けて、無理のない体制を組むことが重要です。対応品質がリード獲得に直結するため、費用対効果の観点からも人員配置には注力しましょう。
展示会では、来場者に資料やノベルティを配布することで自社の印象を残すことが重要です。パンフレットやチラシ、名刺などの印刷物は基本アイテムとして準備し製品理解や記憶の定着をサポートします。
また、実用性のあるノベルティ(ボールペン・メモ帳・エコバッグなど)は持ち帰られる確率が高く、企業名やロゴの露出にもつながります。
制作部数やアイテム選定によって費用は変動しますが、印刷物で5万〜15万円/ノベルティで10万〜30万円が目安です。ターゲット層に合った内容・デザインにすることで、費用対効果を高めましょう。
展示会では「当日どれだけの来場者に自社ブースへ足を運んでもらえるか」が成果を左右します。そのためには、事前の告知・集客活動が欠かせません。
主な集客施策には、既存顧客や見込み顧客へのメール/DM送付、SNSやWeb広告での出展告知、特典案内や予約フォームの設置などがあります。これらの施策を通じて「あのブースは行ってみたい」と思わせる働きかけを行うことで、ターゲット層の来場を促進できます。
費用は施策の内容や配信ボリュームによって異なりますが、5万〜20万円程度が一般的な目安です。限られた予算でも、自社のターゲットに合った媒体・方法を選ぶことで効果的な集客が可能です。
展示会では、出展に直接関わる費用以外にも、見落としがちな周辺コストが発生します。これらを事前に想定しておかないと、後から追加費用が膨らむ可能性もあるため注意が必要です。
例えば、什器や配布物の輸送費は会場までの距離や荷物量によって費用が変動します。また、展示会中の万が一のトラブルに備えた保険(賠償責任保険・破損対策など)の加入も推奨されます。
さらに、電源やインターネット回線の追加申請など、展示会主催者が提供するオプションサービスにも費用が発生します。
費用の目安は以下のとおりです
これら全ての費用を含めた全体の出展費用目安は、70万〜300万円程度が一つの目安になります。ブース規模や運営体制、装飾内容によって前後するためあらかじめ余裕を持った予算設計を心がけましょう。
展示会の出展費用は、会場の規模や立地、主催者の方針によって大きく変動します。ここでは「大規模」「中規模」「小規模・合同展示会」の3タイプに分けて、出展料の目安や主な開催業界、特徴を整理しました。自社の目的やターゲットに応じて、適切な規模の展示会を検討しましょう。
全国規模の業界展示会で、多数の来場者と出展社が集まります。新規顧客獲得やブランド認知を重視した出展に適しており、広報・採用活動にも活用されます。
30万〜50万円/1小間(3m×3m)
東京ビッグサイト、インテックス大阪、幕張メッセ
全国各地で開催される業界特化型の展示会や自治体・商工会議所主催のイベントなど。来場者との距離が近く、深い商談や地域ニーズに応じた訴求がしやすい点が特徴です。
20万〜35万円/1小間
ポートメッセなごや、パシフィコ横浜、福岡国際センター など
簡易的な構成で開催される小規模イベントや特化型展示会。初出展や予算を抑えたテスト出展に適しています。
10万〜20万円/1小間 または テーブル単位
産業振興センター、貸し会議室、ホテルの宴会場
特徴
展示会出展にかかる費用は、「1小間〇万円」といった単純な計算だけでは把握しきれません。会場の立地や時期、ブースの位置や装飾内容など、さまざまな要因が影響し、同じ小間数であっても総額には大きな差が出ることがあります。また、追加費用が発生するポイントを見落としてしまうと、当初の予算をオーバーしてしまうケースも少なくありません。
費用の見積もりや出展可否の判断を行う際には、以下のような点を事前に確認しておくことが重要です。
展示会への出展は効果的なプロモーション施策ですが、コストが膨らみやすい点もあります。ここでは、展示会出展費用を抑えるための3つの基本ポイントをご紹介します。
展示会ごとに出展料や来場者の属性は大きく異なります。「せっかくだから」と背伸びして大型展示会を選んでも、予算オーバーの割に成果につながらないことも。「どの展示会に出すか」ではなく「自社のターゲットとなる来場者がいるかどうか」で選ぶことが重要です。
ポイント
自治体や公的機関では、地域企業の販路拡大や海外展開支援を目的とした出展補助制度が数多く設けられています。これらを活用すれば、出展費用を大幅に軽減できるだけでなく、社内の稟議通過もしやすくなるというメリットも。
また、多くの展示会では「早期申し込み割引」を設けており、出展を決めた段階で速やかに申し込むことで、数万円単位の節約が可能です。
ポイント
展示会は1回出て終わりではなく、複数回の出展によって改善と成果を積み上げる活動です。初回から再利用可能なブース設計を意識すれば、次回以降の装飾費は大きく抑えられます。
また、運営面でも「何に力を入れるべきか」「何を削っても問題ないか」が見えてきます。経験を活かして投資の質を高めることが、費用対効果を引き上げる鍵となります。
ポイント
コストを抑えながらも効果的な出展を目指すには、単に安く仕上げるだけでなく、「限られた予算で何を重視すべきか」を理解したパートナーと取り組むことが鍵となります。クライアントの要望に丁寧に耳を傾け、実現可能なプランを一緒に考えてくれるデザイン会社に相談するのが理想です。
展示会出展の予算は、単に費用の合計額を設定するだけでは不十分です。出展の目的や規模、実施体制によって必要なコストは大きく変わるため戦略的に予算を組むことが欠かせません。ここでは、無理のない予算計画を立てるための基本的な考え方と注意点を紹介します。
出展の目的に応じて、必要な投資の優先順位やボリュームは変わります。目的が明確でないまま予算を組むと、無駄な出費や準備の過不足が生じやすくなります。
ポイント:
展示会にかかる費用は多岐にわたり、出展料以外にも多くのコストが発生します。抜け漏れがあると、後から予算オーバーになる可能性もあります。
すべての費用を一括で考えるのではなく、費用の性質ごとに「固定費」と「変動費」に分けて整理することで予算の見通しが立てやすくなります。固定費はあらかじめ確定している支出、変動費は出展方針やボリュームに応じて増減する費用です。性質ごとに分けて把握しておくことで、全体予算の調整や見直しの優先順位をつけやすくなります。
展示会では、直前の装飾変更や備品の追加手配、予期せぬ輸送トラブル、急な人員の追加対応など、予定外の出費が発生することも少なくありません。こうした突発的なコストに対応するためには、あらかじめ「予備費」として全体予算の5〜10%程度の余裕を見込んでおくことが大切です。
予備費を確保しておくことで、出展準備を慌てずに進められるだけでなく、急な変更にも落ち着いて対応でき全体の運営にも安定感が生まれます。
展示会に出展した結果、その費用が妥当だったのか投資に見合う成果が得られたのかを判断するためには、成果を可視化して評価する必要があります。
成果の振り返りを感覚や印象だけで終わらせてしまうと、次回の出展判断や改善点が曖昧になり、効果的なマーケティング施策として活用できません。重要なのは、出展の目的に応じて評価指標を明確に設定し、データとして定量的に把握することです。
以下に、代表的な評価項目と測定ポイントをまとめました。出展前にKPI(重要指標)として定めておくと、会期中・会期後の成果を客観的に評価しやすくなります。
指標カテゴリ | 主な評価項目 | 測定ポイント | 補足 |
集客数 | 名刺交換数、来訪者数 | 展示会期間中に取得した人数 | 目標数値と実績で比較 |
商談数 | 商談件数、アポ獲得数 | 会期中・後に実施された商談の数 | 来訪者に対する商談率も算出 |
受注効果 | 受注件数、受注金額 | 展示会由来の案件で、成約に至った数と金額 | 1〜3ヶ月後まで追跡が理想 |
ブランド認知 | SNS投稿数、アンケート回収数 | 話題性や接触数の目安 | 定性的効果も記録に残す |
コスト評価 | ROI(費用対効果) | 成果 ÷ 総費用 | 比較指標として活用可能 |
展示会への出展は、予算に対してしっかりと成果を出すために、目的を明確にした上で投資のメリハリをつけることが重要です。削るべきではない費用と、工夫で抑えられる費用を見極めながら、戦略的に予算を配分することで、限られた資源の中でも最大限の効果を引き出すことができます。補助金・助成金の活用や、装飾資材の再利用、早期申込割引の適用などは、出展コストを抑えるための有効な手段です。また、出展後のフォロー体制や成果の振り返りまでを含めた設計を行うことで、展示会の経験を次回以降の改善に活かすことができます。
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